Web制作をメインとしていても、時々ちょっとしたフライヤーなど紙のデザインをすることがあります。
「300dpiでCMYKでつくるんでしょ?」
それくらいしか知らなかった私が、実際に印刷所に入稿する時までに知った知識を改めてまとめてみました。
普段は解像度72dpiでweb用のものしか作っていない人間にとって、印刷データの作成はハードルが高く難しいものの印象がありましたが、いくつかのお約束を守るだけで、通常の作業はweb用と変わりませんでした!
目次
印刷する紙の大きさを決める
当たり前のことからスタートです。
まず、印刷物の大きさを決めます。普段web画像ばかりだとせいぜいコピーでA4用紙を使う程度で、紙の大きさってピンとこないのです。
「フライヤーに使用したい」といっても、どれくらいのイメージなのか。慣れていない私はA4とB4のコピー用紙を折って実際の大きさを手に取りながら決めています。
A4を1回折って半分にするとA5、それを更に半分に折るとA6。
A4を2枚並べた大きさがA3です。
印刷会社を決める
今はお手軽に低料金で印刷してくれる印刷会社さんがたくさんあります。
印刷会社さんのページには、何枚刷るのか、どの紙を使うのか、何日前入稿なのか別の料金表が大抵掲載されていますので、予算や納期の目安になります。
そして印刷会社を先に決めてしまうメリットの一つに「テンプレートをダウンロード出来る」というのがあります。
いざ入稿しようとしたら、その印刷会社の入稿規定に沿っていなかった、なんて事態が起きたら悲しすぎます。
その印刷会社のテンプレートを使用するのが一番ですが、万一用意されていない場合、他の印刷会社のテンプレートを参考にファイルを作成します。
また、私などはIllustratorよりもPhotoshopに慣れているので、Photoshopでの入稿を希望します。
今どきの印刷会社でしたらadobeソフトで作成されたものであれば大丈夫だと思うのですが、やはりテンプレートにPhotoshop用テンプレートが用意されていると、安心してデータを作成することができます。
テンプレートをダウンロードする
テンプレートを使用することで
- 入稿用解像度をいくつにすればいいのか迷わずにすむ(大抵300〜350dpiにすでに設定されています)
- 最初からカラーモードがCMYKに設定されているのでうっかり変換し忘れを防げる
- 必要な塗り足しや、文字を入れるセーフエリアがわかるよう、ガイドが用意されている
- 「ここまで塗る」など注意書きのレイヤーがある場合が多く、入稿ミスが防げる
など、まっさらな状態からデータを作るよりも入稿ミスの少ないデータ制作することができます。
すごく初歩的なことだと思うのですが、ついうっかり、を防いでくれるのでテンプレはあるなら使用するべきです!
黒のカラーパレットを作る
実際に画像や文字を入れていく前に、黒のパレットを作ることをオススメします。
指定の黒で塗りつぶした新規画像を作成し、そこから色をひろう単純な方法でOKです。
皆さんご存知のように、印刷はCMYK4色のインクの重ね具合で表現します。
黒なら「K100」でしょ?
私もそう思っていた時期がありました。
でも実はそう単純なものじゃないんです。
印刷で表現される黒には「スミベタ(K100)」と「リッチブラック」と「4色ベタ」があります。それぞれ特徴や注意点があるので、目的にあった黒を使用する必要があるのです。知らなかった!
簡単に説明しますと
<スミベタ>
シアンやマゼンタで印刷された上にKのインクを乗せるため、データによっては下のインクが透けて見えてしまう場合がある。リッチブラックと比べると墨色、少し薄い印象。
<リッチブラック>
CMYKの4色掛け合わせで表現される黒で、各印刷会社によって推奨値が決まっている。極細文字の時にズレることも。
<4色ベタ>
CMYKすべてを100%かけ合わせた黒。インクの量が多すぎて乾きが遅くなる、裏写りする、紙同士がくっついたりするなどトラブルの原因に。印刷所によっては4色ベタを指定してあると「不備」とみなされる場合もある。
…といった特徴があります。
どの黒を使うか、もうおわかりですね。
リッチブラックを使用します!
使用する印刷会社のFAQなどに、その会社のリッチブラックの推奨数値が書いてあることが多いです。
書いていない場合は印刷会社に問い合わせると教えてもらえます。
その数値に従って基本の黒のパレットを作っておくと、黒で文字を入れる、線を引くなどする時に印刷に適した黒を使用することができます。
デザインデータを印刷チェックしながら作成する
このあたりの作業はweb用画像とほとんど変わりません。
また、写真などで大きな面積に黒いベタ塗りがある場合はその部分の黒が推奨値に近くなるよう調整します。
画面で見た時と印刷した時とで、文字の大きさや線の太さの印象は結構変わりますので、可読性のチェックも含めて時々プリントで確認します。
実際に裁断されるサイズでカットしてサンプルを作成してみるのが、普段印刷データを扱わない人間にとっては一番わかり易いチェック方法だと思います。
レイヤーを統合する
作成したデザインのレイヤーは背景の1枚に統合します。
レイヤーのオンオフを間違えて保存していたり、特殊なフォントを使っていたり、といった問題はレイヤーを統合することで防げますので、印刷所さんのためにも統合しましょう。
もちろん、後になって修正が発生することもありますので、元ファイルをコピーしておくことは忘れずに!
参考:Adobe Photoshopマニュアル<レイヤーの結合>
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/using/layers.html#merge_layers
入稿する
入稿方法は今ではWEBからのデータ入稿が一般的です。ファイル転送サービスのような使い勝手です。
用意したデータに不備が無いことをもう一度確認して、印刷所の用意した窓口から、データを送りましょう。
入稿するデータはZIP圧縮するのが一般的です。
その時に、印刷サンプルとしてjpgで書き出したものを添えるとさらに◎。
お疲れ様でした!!
印刷が上がってくるのをドキドキしながら待ちましょう。
チェックポイントまとめ
- 用意されているテンプレートを使用する
- 黒はリッチブラックで表現する(推奨数値で作成する)
- 手元のプリンターでサンプルを印刷してチェックする
- 入稿データはすべてのレイヤーを統合する
今は早くて安価な印刷サービスも多く、昔に比べ印刷の敷居はグッと下がったと思います。
その分FAQなども初心者向けに充実していますので、基本的なことは調べればすぐにわかるようになっていました。
印刷所の中には、ネットだけではなく実際の営業所がありそこで入稿や受け取りが出来るところもあります。そういったところで相談するなど、どんどん利用しましょう。

Webマーケティング部のスタッフ、スズキです。手を動かしてなにかを作ることとキノコが好きです。テンションの上がるサイトづくりを目指しています。